「VMware Cloud on AWS」 - AWSとVMwareの提携から見えるのは弱者連合
10月14日、VMwareとAmazon Web Services(AWS)が、VMware環境をAWS上で提供する「VMware Cloud on AWS」を共同発表しました。
AWS上でVMwareが、そもそも???ですが、それよりも、あちこちの記事を見てみると、ピントが外れた内容が目立ちますね。
どれもこれも同じ切り口。大きくは「最強のハイブリッド環境を手に入れたAWS」と「クラウドでの逆転を狙うVMware」の強者連合風に書かれています。
つまり、AWSは、オンプレへリーチしたかった、ハイブリッド環境が欲しかったと推測されているようですが、AWSのようなオールクラウド、フルクラウドの思想しか持っていないところが、そんな訳ないでしょう。
AWSは、オンプレは不要としか考えていないです。また、AWS自体、自社のクラウドロックインしており、他のクラウドへの移行をも困難にしています。
それではなぜ、わざわざ興味のないオンプレのVMwareと連携するのか、またはセールスフォースとも連携するのか、それはもうそろそろAWSが自身の限界を迎えていると感じているからです。
マイクロソフトにそろそろ抜かれているのが分かって来たので、仕方なくVMwareや、セールスフォースと連携し始めたのが本当のところだと思います。
IaaSがコモディティ化しており、主戦場がPaaS、あるいはIoT、AI、ビッグデータなどアプリケーションレイヤに変わってきたため、マイクロソフトには到底太刀打ちできないのです。
もう、そんなに長くないと思いますね。長くてあと2~3年でしょうか。
すでに、VMworld 2016で「VMware Cross-Cloud Architecture」を発表しており、その中で、「VMware Cloud Foundation」で、IBM SoftLayerとの連携、つまり「VMware Cloud on IBM SoftLayer」を発表しています。今回の「VMware Cloud on AWS」はその延長線上の別プラットフォームです。
IBM SoftLayerではあまりにショボすぎて話題にさえならなかったのです。
背景には、通信事業者との提携した自社のパブリッククラウドサービス「vCloud Air」がうまく行っていないことにあります。
本来は、「vCloud Air Network」というVMwareベースの各サービスプロバイダーが連携することで、AWSやAzure、Googleなどのパブリッククラウドへ対抗しようとしてきましたが、これが全くうまく行きませんでした。
今年の4月には「vCloud Air」の日本ロケーションでの提供を来年(2017年)3月31日で終了すると発表しました。日本ロケーションは、ソフトバンクと合弁会社を設立してサービスを開始していましたが、これが全くうまく行っていませんでしたので、日本では1年で終了することになりました。
ようするに、VMware自身でインフラを投資してクラウドサービスを展開するのを諦め、パブリッククラウドであるIBM SoftLayerを利用し「vCloud Air」の変わりになるパブリッククラウドサービスを提供したということ。
ただ、IBMのクラウドだけでは弱すぎるので、AWSと提携に至ったのが本当のところでしょう。
次はGoogleとの連携でしょうが、マイクロソフトとVMwareが連携すれば話しは大きく変わりますが、Googleでは話題にはならないかも知れません。
ただし、GoogleはAWSとは異なり、ベアメタルサーバの"サーバ"が別物なのでvShpereを搭載するには課題が多すぎて無理かもしれませんね。
いずれにせよ、AWSとVMwareの提携から見えてくるのは弱者連合しかないのですが、そう捉えていない記事が大半ですね。
※あくまで個人の感想であり事実を示すものではありません。